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竹永 秀信; 大山 直幸; 諫山 明彦; 稲垣 滋*; 滝塚 知典; 藤田 隆明; 三浦 幸俊
Europhysics Conference Abstracts (CD-ROM), 29C, 4 Pages, 2005/00
強い内部輸送障壁(ITB)を有するJT-60Uの負磁気シアプラズマにおいて、ペレットを入射した直後に、密度揺動の低下を示す反射計スペクトルの変化を得るとともに、中心密度や蓄積エネルギーの増加が観測された。ペレット入射前後での粒子及びパワーバランス解析では、実効的粒子拡散係数とイオン熱拡散係数の低下が観測されたが、電子熱拡散係数の低下は観測されなかった。密度揺動と電子系熱輸送の関係を明らかにするために、ペレット入射から20msまでの過渡輸送解析を行った。ペレットの侵入位置はITBの外側(r/a=0.8近傍)であり、ペレット溶発によるコールドパルスがITB領域に到達した後に、反射計スペクトルが変化している。コールドパルスの伝搬による電子温度の時間変化を説明するためには、反射層近傍の内側ITB領域で熱拡散係数が減少、外側ITB領域で増加させる必要があることを明らかにした。内側ITB領域での熱拡散係数減少の時間スケールは、反射計スペクトル変化の時間スケールより緩やかであり、電子温度分布の変化の時間スケールと同程度である。この結果は、電子温度分布がペレット入射前と同程度に回復した時刻でのパワーバランス解析と矛盾しない。このことは、電子系の熱輸送が測定された波数領域の密度揺動と直接的に関連していないことを示していると思われる。
坂本 宜照; 鈴木 隆博; 井手 俊介; 小出 芳彦; 竹永 秀信; 鎌田 裕; 藤田 隆明; 福田 武司; 滝塚 知典; 白井 浩; et al.
Nuclear Fusion, 44(8), p.876 - 882, 2004/08
被引用回数:33 パーセンタイル:71.1(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいてイオン熱拡散係数の径電場シアに対する応答を調べ、以下の結果を見いだした。(1)正磁気シアプラズマでは、コア部のイオン熱拡散係数は加熱パワーに対してLモード,弱いITB,強いITBへと変化することを示す。しかしながら負磁気シアプラズマでは、加熱パワー増大に伴うイオン熱拡散係数の上昇は観測されない。(2)正磁気シア及び負磁気シアプラズマの弱いITBにおけるイオン熱拡散係数は径電場シアの増大に伴い緩やかに低減する。弱いITBから強いITBへの変化において実効的な径電場シアの閾値が存在する。(3)負磁気シアプラズマにおける実効的な径電場シアの閾値は正磁気シアプラズマよりも小さい。
藤田 隆明; 福田 武司*; 坂本 宜照; 井手 俊介; 鈴木 隆博; 竹永 秀信; 居田 克巳*; 出射 浩*; 下妻 隆*; 藤澤 彰英*; et al.
Plasma Physics and Controlled Fusion, 46(5A), p.A35 - A43, 2004/05
被引用回数:26 パーセンタイル:63.74(Physics, Fluids & Plasmas)電子サイクロトロン波(EC)加熱を用いて、JT-60Uプラズマにおける電子の内部輸送障壁(ITB)の形成条件を調べた。低密度で、中性粒子ビーム加熱パワーが少ない場合に、EC加熱パワーの系統的なスキャンを行った。負磁気シアプラズマの場合には電子温度勾配が空間的に変化する点が出現し、その内側の電子温度勾配がEC加熱パワーとともにすみやかに増大し、電子熱拡散係数が1m/s以下となったのに対して正磁気シアプラズマの場合は電子温度分布は滑らかなままであり、その最大値も小さい値に留まり、電子熱拡散係数は1m/s以上であった。このことから、負磁気シアの方が電子ITBが形成されやすいことがわかった。一方、中性粒子ビーム加熱パワーが大きく、イオンのITBが形成される場合には、正磁気シアにおいても電子ITBが形成されることが観測された。これは、イオンのITBの形成に伴う大きな径電場勾配あるいは圧力勾配が電子ITBの形成に有効に働いたためと考えられる。
白井 浩
プラズマ・核融合学会誌, 79(7), p.691 - 705, 2003/07
エネルギーバランスの式に基づいたトロイダルプラズマにおける熱輸送解析及び熱輸送シミュレーションの手法をまとめた。ジュール加熱,NBI加熱,RF加熱,加熱の概要を説明した。エネルギー損失機構の中で、熱伝導損失と放射損失は、それぞれプラズマ中央部及び周辺部において支配的である。トカマクにおいてによって生じる異常輸送は新古典輸送よりもはるかに大きい。輸送を増加させるその他のメカニズムである鋸歯状振動及び磁気島形成についても示す。
坂本 宜照; 鈴木 隆博; 井手 俊介; 小出 芳彦; 竹永 秀信; 鎌田 裕; 藤田 隆明; 滝塚 知典; 白井 浩; 福田 武司
プラズマ・核融合学会誌, 78(9), p.941 - 948, 2002/09
内部輸送障壁(ITB)を伴う閉じ込め改善プラズマは、先進トカマク運転に適しているだけでなく、異常輸送を引き起こす原因を解く鍵となる。一般にITBの形成において加熱閾パワーが存在すると考えられている。本研究の目的は、ITB形成においてもL/H遷移のように明確な閾パワーが存在するか、あるいはITB形成による輸送の応答は連続的なのかを調べることである。そこで輸送特性の加熱パワー依存性を調べた。その結果、3MW以上の加熱パワーでパラボラ型のITBを形成し、イオンの熱拡散係数は加熱パワーに対して連続的に減少することが明らかになった。また8MWの加熱パワーでは、パラボラ型からボックス型のITBへ遷移し、この時のイオンの熱拡散係数の応答は不連続的であることが明らかになった。
Neudatchin, S. V.; 滝塚 知典; 白井 浩; 藤田 隆明; 諫山 明彦; 鎌田 裕; 小出 芳彦; 鈴木 隆博; 竹治 智
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(5A), p.A383 - A389, 2002/05
被引用回数:13 パーセンタイル:40.64(Physics, Fluids & Plasmas)内部輸送障壁近傍の熱拡散係数が急激に変動する現象、ITB事象、がJT-60中の負磁気シアプラズマにおいて観測されており、この現象の解析を進めてきた。ここでは、プラズマ周辺で起こるL-H-L遷移とほぼ同時に発生するITB事象について、その動的挙動とL-H-L遷移との相互作用を記述する。H-L遷移により、弱いITBの領域でほぼ同時的に劣化ITB事象が発生し熱拡散係数が増加する。Lモード期間中に改善ITB事象が発生し熱拡散係数が減少し強いITBが形成される。L-H遷移により、同時的に劣化ITB事象が発生し、負磁気シア領域まで熱拡散係数を増加させる。その後のHモード期間中に、再びITBが改善される場合もある。
上原 和也; 前田 満; 津島 晴*; 雨宮 宏*
Contributions to Plasma Physics (CD-ROM), 42(2-4), p.384 - 388, 2002/04
実験的に得られているトカマク周辺のプラズマパラメーターから電子及びイオンの粒子拡散係数D,Dや熱拡散係数,を求めるためのスクレイプオフ層の輸送モデルをさらに発展させ、より精密なものにした。粒子保存の式とエネルギー保存の式が解かれ、今まで無視していた電離と荷電交換損失によるソース項も正確に取り入れた。Dと(j=e,i)は磁力線に沿った結合長L,イオン温度T,電子温度T,密度と温度勾配の減衰長,,それにマッハ数Mの関数として表現される。JFT-2Mの静電プローブ類でこれらのデータは得られているので、Dやが正確に求められる。評価の一例として、JFT-2Mで得られているT/T=26,M=0.060.2のパラメーターではDDDという結果が得られた。ただし、Dとは測定点におけるボーム拡散係数と新古典論に基づく拡散係数である。
Neudatchin, S. V.; 滝塚 知典; 白井 浩; 藤田 隆明; 諫山 明彦; 鎌田 裕; 小出 芳彦; Dnestrovskij, Y. N.*
JAERI-Research 2001-056, 32 Pages, 2001/12
JT-60U中の内部輸送障壁(ITB)を持つ正及び負磁気シアプラズマ中の速い時間スケールとゆっくりした時間スケールの時間発展を調べた。弱いITBにおいて時間的に急激で空間的に広がりのある変動が、電子とイオンの熱拡散係数に生じる。強いITBを持つ負磁気シア(RS)プラズマ中では、の変動はITBの足部近傍に局在化する。さまざまなRSプラズマにおいて、安全係数がほぼ最小になるところで熱流束の変動が最大となる。の急変及び鋸歯的崩壊によって誘起される熱パルス伝搬を解析し、強いITB領域内ではの値は小さく熱ピンチはないことを確かめた。また、ELMで引き起こされるH-L遷移時とその回後のL-H遷移時のの急激変動は、RSプラズマの弱いITB領域より内側の負シア領域にわたって非局在的に起きる。
Neudatchin, S. V.; 滝塚 知典; 白井 浩; 藤田 隆明; 諫山 明彦; 小出 芳彦; 鎌田 裕
Plasma Physics and Controlled Fusion, 43(5), p.661 - 675, 2001/05
被引用回数:8 パーセンタイル:27.43(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uの負磁気シアプラズマにおいて、内部輸送障壁(ITB)近傍で、時間的に急激で空間的に幅広い領域にわたる熱拡散係数の変動、「ITBイベント」、が発生する。このITBイベントによる温度の揺動が熱パルス伝播の源になることを見いだした。内部輸送障壁内の電子の熱パルス伝播を解析し、電子の熱拡散係数がほぼ0.1m/sという小さな値になっていることを示した。イオンの熱パルス伝播の解析により、イオンの熱拡散係数も同様に小さくなっていることを示した。さらに重要な点として、熱ピンチが存在しないことを明らかにした。
Neudatchin, S. V.; 滝塚 知典; Dnestrovskij, Y. N.*; 白井 浩; 藤田 隆明; 諫山 明彦; 鎌田 裕; 小出 芳彦
Proceedings of IAEA 18th Fusion Energy Conference (CD-ROM), 5 Pages, 2001/00
JT-60U中の正磁気シアと負磁気シアのプラズマにおいて、内部障壁と輸送の動的挙動を調べた。その挙動は、各種の速い現象と緩やかな現象の組み合わせから成る。時間的に急速で空間的に巾広い(小半径の30%程度)範囲に亘る、電子とイオンの熱拡散係数の変動が、正シア及び負シアプラズマ中の内部障壁近傍で発生することを明らかにした。この急激な熱拡散係数変動に伴う、内部障壁内の熱パルス伝播を解析することにより、内向きと外向きの伝播ともに拡散的であることを確認し、その拡散係数の値は非常に小さくなっていることを明らかにした。負磁気シアプラズマにおいて、ELMにより誘起されるL-H遷移があるとき、プラズマ周辺の変動が瞬時に内部障壁まで影響を及ぼし急激な熱拡散係数の変動をもたらすことを見いだした。
白井 浩; 滝塚 知典; 小出 芳彦; 内藤 磨; 佐藤 正泰; 鎌田 裕; 福田 武司
Plasma Physics and Controlled Fusion, 42(11), p.1193 - 1217, 2000/11
被引用回数:55 パーセンタイル:82.38(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60UのNBI加熱ELMyHモードプラズマにおいて無次元輸送研究を行った。プラズマ断面の三角形度が大きい場合と小さい場合について、電子及びイオンの規格化熱拡散係数*及び*の規格化ラーマ半径*依存性を調べ、いずれの場合も*及び*は強い*依存性を持つことを明らかにした。これは*の値が小さい将来の核融合炉において熱拡散係数が小さくなり、炉をコンパクトに設計できることを示す。ただし、ELMの強度が強くなった場合には、*の強い*依存性は変わらないものの*の*依存性は弱くなり、イオンのエネルギー閉じ込め性能の劣化が顕著になることを明らかにした。したがって、ELMの抑制は将来の核融合炉では必須の課題となる。また、規格化エネルギー閉じ込め時間*の規格化衝突周波数*依存性は弱いことを明らかにした。
Neudatchin, S. V.; 滝塚 知典; 白井 浩; 藤田 隆明; 諫山 明彦; 小出 芳彦; 鎌田 裕
JAERI-Research 99-063, p.38 - 0, 1999/11
JT-60U中の負磁気シアプラズマにおいて、熱パルス伝搬の新しい発生源を発見した。熱拡散係数の急激な変動(事象)が熱パルス伝搬を引き起こす。この事象により急激な電子温度上昇(~20keV/s)が局所的(~4cm)に発生すると、その後時間が進むに従って、上昇した温度の変動が内部輸送障壁領域をゆっくりと拡散的に拡がっていく。この熱パルス伝搬を解析的・数値的に研究した。約8cm幅の領域において、電子の熱拡散係数は、約0.1m/sと小さくなっていることがわかった。この領域は磁気シアが正になっているところまで含んでいる。イオンの熱パルス伝搬も解析し、イオン熱拡散係数も電子と同様に小さくなっていることを示した。さらに、内部輸送障壁領域中には電子もイオンもともに熱ピンチは存在しないことを明らかにした。
白井 浩; 菊池 満; 滝塚 知典; 安積 正史
プラズマ・核融合学会誌, 75(4), p.444 - 451, 1999/04
JT-60Uの内部輸送障壁(ITB)を持つ中心閉じ込め改善プラズマにおける巨視的閉じ込め特性及び局所輸送特性を径電場シア形成の観点から研究した。改善閉じ込めモードの熱拡散係数の基準となる新古典拡散をMatrix Inversion法を用いて再評価した。得られた新古典拡散係数は、従来広く用いられてきたChang-Hintonの評価式の値の約半分になった。JT-60UのITBは、その圧力分布から大きく「パラボラ型ITB」と「箱型ITB」に分類することができる。パラボラ型ITBでは、プラズマ中心領域全体で熱輸送係数は軽減されるが、径電場シアは弱い。一方、箱型ITBでは薄い内部輸送障壁層において非常に強い径電場シアが形成され、熱拡散係数は新古典拡散程度まで減少する。内部輸送障壁層において径電場シアにより生じるEBフローシアの大きさは、微視的不安定性の成長を十分抑制しうる。
小出 芳彦; 藤田 隆明; 滝塚 知典; 白井 浩; 波多江 仰紀; 諫山 明彦; 伊世井 宣明; 坂本 宜照; 鎌田 裕; 菊池 満; et al.
IAEA-F1-CN-69/EX5/2 (CD-ROM), 8 Pages, 1999/00
負磁気シア放電における内部輸送障壁は電子系熱拡散係数の低減を伴うが、その発生条件を系統的なパラメータスキャンで調べた。その結果、磁気シアの値sと発生位置のすぐ内側における電子温度勾配dTe/drとの間に明確な相関が認められた。このs-dTe/dr平面上で遷移直前のデータの時間的動きに着目すると、一部のデータが他と異なる方向に動いている。このことはsとdTe/drの他にも遷移に関るパラメータが存在することを示唆しているので今後検討を進める。もう一つの話題として、q値が最小となる位置より外側、即ち正磁気シアの位置に内部輸送障壁が発生する現象を発見した。この場合の発生条件は前述の負磁気シアのs-dTe/drの関係と連続的につながった。この結果は、正磁気シアの領域では内部輸送障壁を発生するには、負磁気シアと比較して、より大きなdTe/drを要することを示唆している。
白井 浩; 菊池 満; 滝塚 知典; 藤田 隆明; 小出 芳彦; Rewoldt, G.*; Mikkelsen, D. R.*; Budny, R.*; Tang, W. M.*; 岸本 泰明; et al.
Nuclear Fusion, 39(11Y), p.1713 - 1722, 1999/00
被引用回数:68 パーセンタイル:87.07(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uの中心閉じ込め改善プラズマにおける巨視的閉じ込め特性及び局所輸送特性を径電場シア形成の観点から研究した。JT-60Uの内部輸送障壁(ITB)は、その圧力分布から大きく「パラボラ型ITB」と「箱型ITB」に分類することができる。パラボラ型ITBでは、プラズマ中心領域全体で熱拡散係数は減少するが、径電場シアは弱い。一方、箱形ITBでは薄い内部輸送障壁層において非常に強い径電場シアが形成され、熱拡散係数は新古典拡散程度まで減少する。内部輸送障壁層において径電場シアにより生じるEBフローシアの強さは、微視的不安定性の成長を十分抑制しうる。Lモード閉じ込めとHモード閉じ込めが繰り返し起こる高イオンモードプラズマにおいて、熱拡散係数が径電場シアに依存し、強い径電場シアにより熱拡散係数が軽減されることを明らかにした。
Neudatchin, S. V.*; 滝塚 知典; 白井 浩; 藤田 隆明; 伊世井 宣明; 諫山 明彦; 小出 芳彦; 鎌田 裕
Plasma Physics and Controlled Fusion, 41(10), p.L39 - L47, 1999/00
被引用回数:17 パーセンタイル:57.89(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uの負磁気シア放電における内部輸送障壁(ITB)の時間的空間的発展について調べた。ITBの発展は、短時間スケールの現象と長時間スケールの現象との組み合わせから成る。短時間スケールの現象は、電子温度の上昇と下降が、温度不変の領域をはさんだ2領域に同時的(数ms以内)に発生する形で観測される。温度不変領域は安全係数の極少位置近傍にある。この現象は、電子熱拡散係数の時間的に急激な減少の結果である。その現象領域は空間的に広く(プラズマ半径のほぼ0.3)、電子温度の下降領域まで拡がっている。
小出 芳彦
プラズマ・核融合学会誌, 74(9), p.987 - 997, 1998/09
トカマクプラズマで観測される内部輸送障壁(ITB)の特性を実験結果を中心に述べた。この研究のゴールを「炉心プラズマにおけるITBの発生・維持を能動的に制御する手法の開発」と位置づけ、以下の構成で研究の現状を紹介した。(1)低減する輸送係数の多様性、(2)ITB発生位置とq分布との関連、(3)乱流揺動とITB発生との関連、(4)EBシアによる安定化モデルとの対応、(5)炉心プラズマへの適用。特に電子系熱輸送の改善を伴うITBの重要性を指摘し、計測器の発達や理論の発展とともに理解は進んでいるものの、まだ十分とは言えない現状を述べた。
上原 和也; 津島 晴*; 雨宮 宏*
Czechoslovak Journal of Physics, 48(SUPPL.S2), p.339 - 344, 1998/00
周辺プラズマはコアプラズマとの関連で調べられているが、イオン温度やフロー速度等についてのデータの欠如により、輸送特性の解明には、多くの不鮮明な点があった。JFT-2Mでは、新しく開発された2つのダブルプローブを用いて、周辺プラズマのイオン温度とフロー速度の径方向分布を測定することに成功しているので、これらのデータを用いて、周辺プラズマの輸送モデルを作り、粒子拡散係数、電子熱拡散係数、イオン熱拡散係数を評価することを試みた。その結果、OHプラズマでは、トロイダル磁場、1.25T、安全係数4の条件下で 53m/s, 22m/s, 1.9m/sが得られ、NBI加熱時(加熱パワー0.3MW)は、同じ条件下で、 1.7m/s, 19m/s, 5m/sという値が得られた。
小出 芳彦; Burrel, K.*; B.Rice*; 藤田 隆明
Plasma Physics and Controlled Fusion, 40(1), p.97 - 110, 1998/00
被引用回数:21 パーセンタイル:56.25(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uの負磁気シア放電では、内部輸送障壁が小半径の80%程度に位置するため閉じ込め改善領域が広く、電子系熱拡散係数に明確な減少が観測されるなど、将来の核融合炉にとって好ましい特性を有している。しかしながら、これらの特徴は他の装置では顕著ではない。本研究では、DIII-D装置の負磁気シア放電と比較することにより、これらの差異が生ずる原因を調べた。その結果、(1)JT-60Uに特有な強い負磁気シアが電子系熱拡散係数の低減と関連があることがわかった。また、(2)他の装置に比べ周辺電子温度が高いため電流拡散の時定数が長く、負磁気シアを維持する観点から有利なこと、(3)プラズマ電流の連続上昇が、輸送障壁の径方向位置を外側に保つような安全係数分布の形成に寄与していることもわかった。
竹永 秀信; 永島 圭介; 逆井 章; 及川 聡洋; 藤田 隆明
Plasma Physics and Controlled Fusion, 40(2), p.183 - 190, 1998/00
被引用回数:41 パーセンタイル:77.36(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60U負磁気シアプラズマでは、電子密度・温度、イオン温度分布に内部輸送障壁と呼ばれる急峻な勾配が観測される。温度勾配に関しては熱拡散係数の減少で説明されるが、密度勾配に関しては、(1)粒子拡散係数の減少、(2)内向き対流速度の増加、もしくは(3)両効果によることが考えられ、粒子拡散係数と対流速度を分離して評価する必要がある。本論文では、JT-60U負磁気シアプラズマにおいて、ヘリウムガスを用いたモジュレーション実験により、粒子拡散係数と対流速度を分離して評価した。その結果、内部輸送障壁近傍で内側領域に対して、粒子拡散係数が約半分程度になっていること、また、対流速度も、内側領域で外向きなのに対して、内部輸送障壁近傍で内向きになっていることが明らかになった。このことは、急峻な密度勾配が粒子拡散係数の減少と内向き対流速度の増加の結果として形成されていることを示唆している。